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炒飯は料理だけど、フライドライスは料理じゃない。

ペルーに入るといろいろと食事が美味しくなって、助かっているのですが、料理の美味しい国、美味しくない国、なんとなく違いがわかってきたような気がします。
それは、例えば炒飯とフライドライスの違いなんです。

 以前にも一度書いたことがあるような気がするのでするのですが、英語のメニューって読みずらくないですか。

fried rice with chicken
fried rice with beef
fried rice with pork

chicken with vegetable
beef with vegetable
pork with vegetable

fried fish with vegetable
stir fried beef with mushroom

chicken with garlic sauce
beef with garlic sauce
pork with garlic sauce

などなど。。。
でも、どれを取ってみてもイマイチどんな料理かピンと来ないですよね。
(そして、こんな感じのメニューは外人観光客向けのレストランに多くて、そして、大抵おいしくありません。)

 何でピンと来ないこないのか、最近、ようやくわかりました。いや、いまさらですが、これ、どれをとっても全部、それが料理の名前じゃないからです。

pizza やhamburger,spagetti、lazagneなんかは分かるんですけどね。

中南米のスペイン語圏に入ってからもどうもメニューが分かりにくい。と思ってました。何でだろうってずうっと疑問でした。
 食堂には大体メニューなんて置いてありません。だから、何があるのか聞くことになるのですが、返ってくる答えは
pollo frito, carne asada, pescad frito, igado ・・・
(日本語に訳すと 揚げた鶏、焼いた肉、揚げた魚、肝臓、・・・・)

到底どんな料理か想像がつきませんよね。
特にpollo frito, carne asada, pescad frito,この当たりはどこの食堂にでもあるのですが、全くどんな味付けなのか、どんな焼き方なのか、またはあげ方なのか、何度頼んでも全然想像できないし、いつも全然違う料理が出てくるわけです。
私は旅行しているので、常に移動しています。だから、同じ名前でも地方に寄っていろいろ違うのかもしれません。だから何時までたってもどんな料理か分からないのかもしれません。
でも、“pollo frito はこういうもの”というような、共通理解のある料理というのがあんまりなかったように思います。

例えば日本だったら、カツ丼。といえば、絶対にカツ丼が出てくるわけですよね。
じゃあ、カツ丼ってどんなものかというととんかつとねぎかたまねぎを醤油と砂糖のベースのつゆで煮て、卵でとじます。(ここまでしたものをカツ煮と呼ぶそうです)そして、コレをどんぶりの飯の上に載せたもの。というベースはどこに行っても変わりませんよね。
これが、味噌で煮込んであったり、トマト煮こみであったらカツ丼とは呼びませんよね。もしくはカツ丼を頼んでそんなの出てきたら面食らいますよね。
名前からして、丼飯の上にカツが乗ってればいいんだろうって感じで、何の味付けもなしに、しかも、駄菓子屋で30円くらいで売ってる“ビッグカツ”が5分割くらいにされて丼飯の上に載せられて出てきたら怒ってどんぶり投げつけて返りますよね。(でも海外ではそんな料理は日常茶飯事的に出てきちゃうんですけど)
同じカツ丼でも普通に味噌煮込みだったり、トマト煮込みだったり、卵でとじてたり、とじてなかったり、ビッグカツだったりしたら、カツ丼ってどんな料理?ってなるわけですよね。
こうなるともうカツ丼って料理の名前じゃなくなってしまうと思いません。

fried rice は、炒飯的なものなら全部、日本の炒飯も中国の炒飯も、タイのカオパットも、マレーシアのナシゴレンも全部fried rice になっちゃうわけです。だからコレは“料理”とは呼べないですよね。
まあ、炒飯的なものって、大して幅が無いから、まだfried rice でもいいですけどね。

例えばチンジャオロース、これは中国語では青椒肉糸(糸は本当は糸偏に糸みたいな糸が2つ並んだ字なんですけど)と書いて、青椒はピーマンのことで、肉糸は細切り肉のことなんで、意味はピーマンと細切り肉、英語でそのまま書けば、meat with green pepper、青椒肉糸にはよく牛肉が使われていることや、その調理方法も加味して、stir fried beef with green pepper、と、書いたとしてもこれじゃ、ピーマンと牛肉が一緒に炒まってれば何でもいい感じですよね。
でも、青椒肉糸は中国では絶対青椒肉糸で、味も大体決まってるし、全く別の料理は出てきません。青椒肉糸で、みんながどんな料理か理解できるわけです。名前は簡単ですが、その指し示すものはしっかりそのものだけを示しているわけです。

そして、これが魚香茄子、茄子味噌、茄子の甘辛煮、マーボーナス、紅焼茄子なんかになっちゃうと、全部stir fried egg plantなんてなっちゃうわけです。
この間(この間って言っても2,3年位前だったでしょうか、)、どこかの国で、fried egg plant with garlic なんてメニューをみつけて、わたしはナスに目がないので、どんな料理が出てくるのか楽しみにして頼んだら、揚げたナスの薄切りを4枚くらいならべて、上ににんにくみじん切りを載せて出されたことがあって、ちょっと拍子抜けしてしまったことがあります。
食べてみるとまあ、悪くは無かったのですが、でも、お皿の上にナスが4枚きりって、ちょっと日本だったら、お酒のつまみの小皿以外でそんな料理ないですよね。


 つまり、“料理”とは、その内容に着いて共通理解があって、そこに名前の付がついて、はじめて、料理だといえるのではないかと思いました。
だから、英語のメニューとか、中南米あたりのスペイン語のメニューは素材と大まかな調理法が何であるかしか分かりません。
そして出てくるものはその素材で、おおまかに焼いたとか、揚げたとかだけがあってればどんな料理でもいいわけです。
言ってしまえばレストランによって、おなじpollo fritoでも、揚げた鳥か焼いた鳥が出てくれば全然別の料理が出てきてしまうわけです。
そして、何人かで食べに行ったときにどんなのが出てくるんだろうって、期待して、違うものを頼んだのに全く同じものが出てきたりするわけです。

ペルーに入ってそれが少し変わりました。
 ペルーにはロモサルタード(もしくはロモサルタッド)って言う“料理”があります。
何で“料理”なのか、なぜなら、このロモサルタードはどこで注文してもロモサルタードだからです。
どんな料理かというと、牛肉とたまねぎをちょっと濃厚なトマトソースで炒めて、フライドポテトと絡めたものです。
大体、これとごはんが一緒になって出てきます。
どこに行ってもロモサルタードはその味で、具も同じ。ぶれてないんです。もちろん、おなじロモサルタードでも店によって、美味しかったり不味かったり、肉が多かったり少なかったり、そういう違いはありますが依然ロモサルタードであることには変わりがありません。
つまり、ロモサルタードには“料理”としての共通理解があるわけです。そして、このロモサルタードを頼むと大体ハズレがありません。
でも、ペルーでもpollo frito や pescado frito, carne asada はどんな料理が出てくるか全然予想できないんですけど。

他にもペルーにはタクタク、カウカウ、アロスコンポジョ、など、“料理”があります。
アロスコンポジョなんてarroz con pollo, 英語で書けばrice with chicken,つまり、ごはんと鶏、これまた全然想像つきそうにないネーミングなんですけど、ペルーだとアロスコンポジョは絶対こうって言うスタイルがあるんです。
って言ってもそんなに大したものじゃないんですけど、でも、アロスコンポジョのごはんはどこに行っても緑色をしています。どんな味付けなのかは知りませんが絶対同じ味付けなんですよね。だから鳥とごはんを一緒に出せばいいって感じじゃなくて、アロスコンポジョは必ずアロスコンポジョなんです。
他にもタクタクは豆ご飯をフライパンで焼いたものだし、カウカウはちょっとカレーみたいな見た目の黄色い汁で煮たモツ煮込みというように、ペルーには“料理”が多いのです。

そして、考えてみると今まで美味しいと思った国には“料理”がありました。そして、美味しいものにはちゃんと“名前”がついていました。
日本はいわずもがな、中国なら魚香茄子、回鍋肉、青椒肉糸などなど、タイなら、パッタイ、カオマンガイ、プーパッポンカリー(カレーがちゃんとした料理の名前なのかどうかは疑わしいですが)とか、アフガン料理のカライーとか。

料理にちゃんとした名前のある国は美味しい。もしくは美味しいものにはちゃんと名前があるってことに気がつきました。

そして、そういう料理に名前のある国で、英語のメニューを作るなら、変に意訳せずにそのまま音をとって表記してくれたほうがありがたいと思いました。
説明は名前の横に簡単に書いておくほうがその後、他の店で同じものを頼むのにも便利ですよね。
例えばお好み焼きをjapanese pizza とかせずに、okonomiyaki(Japanese savoury pancake containing a variety of ingredients)みたいに。

ちなみにカレーというのは調べてみると“インドの香辛料を使った煮込み料理をまとめてカレーと呼び始めたのは西洋人である”のだそうです。
語源はタミル語で“食事”を意味する『カリ』という言葉がなまったというのが有力だそうですが、ウィキペディアによると“インドの香辛料を使った料理を全て「カレー」と呼ぶのは、日本料理で言えば醤油を使った煮物を全て同じ名で呼ぶような乱暴な呼び方である”
こうやって、カレーという言葉を浸透させてしまったのはインドを植民地にしていたイギリスだそうで、まず、イギリスで、インド料理がカレーとして紹介され、イギリスの会社がカレーパウダーなるものを発売して、何時の間にかインド料理が全部カレーになってしまったそうです。
でもこうなってしまうと、実際インドであれ食べたいって時になかなかその名前を知る機会を失ってしまうんですよね。

タイカレーも調べるともちろんタイカレーなんて料理は無いそうで、我々がタイカレーと呼んでいるのは“タイ語でゲーン(แกง)と呼ばれる様々な汁物の中で、香辛料の利いた、ココナッツミルク仕立ての料理の総称である。”そうで、“タイの宮廷で発祥した料理で、インドのカレー料理との直接の関連性はない。”そうですが、残念ながら、タイで大好きだったタイカレーのタイでの呼び名を知ることはありませんでした。
美味しいものはなるべくその国の言葉で、ローカルの名称で紹介して欲しいものです。そしたら、一生懸命覚えるのに。。。

 ちなみに今いる、piscoという町で、また新しい料理を発見しました。
名前はカラプルカって言うんですけど、ちょっとアカプルコに似てません?

カラプルカはたぶんトマトソースにのことで、コレをごはんやスパゲッティの上に載せて食べます。
人が食べているのを見て、あんまり美味しそうだったので、注文してみて、名前も聞いてみました。
ここまで無かったのか気がつかなかったのか知りませんが、初めて見たので、もしかしたら、piscoの名物料理かもしれません。
by fuji_akiyuki | 2010-09-06 07:15 | ペルー
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