標高4000m,アンデスの秘湯,“もう一つの”アグアスカリエンテス

ペルーでアグアスカリエンテスと聞くとマチュピチュの麓にある温泉街、近年、マチュピチュ村などとふざけた名前に改名した小さな町を思い出す人も多いでしょう。
でも、クスコの近くにはもう一つ、アグアスカリエンテスと呼ばれる土地があるのです。

 もともと、アグアスカリエンテスとは、暖かい(カリエンテ)水(アグア)と言う意味で、ズバリ温泉を意味するので、もしかするとアグアスカリエンテスと呼ばれる土地は、もっとたくさんあるかもしれません。

 今回、私が訪れたのは、マチュピチュの麓ではなく、クスコからプーノに抜ける時に通る標高4300mのララヤ(la raya)峠の手前にある5000m級の山々に囲まれた立地条件と雰囲気は最高のくせに、ガイドブックにも載ってなくて、クスコの観光案内所の人も知らない秘湯、もう一つのアグアスカリエンテスです。

 クスコからプーノまでは大きな町としてはクスコから順にウルコス(Urcos)、シクアニ(Sicani)、アヤビリ(Ayaviri)、フリアカ(juliaca)、プーノがあります。
上記のシクアニとアヤビリの間にアグアスカリエンテスと、ララヤ峠があります。
シクアニから、上ること約30km、アグアスカリエンテスがあり、更に約10km、シクアニからだと約40kmのところに4300mのララヤ峠があります。

10年前、全く同じ道を私はクスコを出て、ウルコス、シクアニ、アヤビリ、フリアカと宿泊して、プーノまで行きました。
その時はガイドブック(たぶん歩き方)にアグアスカリエンテスという表記だけはあったので、温泉の存在は知っていたのですが、シクアニとララヤ峠の間と言うだけで、正確な位置も、そこに泊まれるのか、どの程度の登り道なのか、国道から更に入らなければならないのかどうか、全然詳しいことは分からなかったので、温泉は走ってる途中で見つけたら入ってみようくらいのつもりで走ってしまいました。
シクアニに宿泊してしまった私は、そのアグアスカリエンテスには朝のうちに到着してしまいました。
 峠の手前で、国道沿いに掘っ立て小屋があって、線路を渡って50mも下ると川沿いに源泉があり、ちょっと大きめの建物の中に内風呂があるだけのひなびた、本当にひなびた小さな温泉でした。
でも、あんまり管理されてなくて、入る人も少ないようで、内風呂はちょっとぬるかったので、源泉と川が合流するあたりで、露天風呂を楽しんだりしました。
かなり野性味のある温泉でした。
 到着した時に前の晩に着いて、ここにテントを張って一泊したと言う白人チャリダーがいて、ちょっと話して、その人が出て行くと温泉は私一人の貸し切り状態になり、他に誰もいなかったので、裸になってはいることが出来ました。
ゆっくり温泉を楽しんで、身支度をして、さあ出発しようと言うときにようやく地元の若者が5,6人、自転車に乗って、温泉に入りに来ました。そのくらい、人は少なくて、野性味溢れた本当に“秘湯”だったのです。

でも、このとき、そこで一泊したと言う白人チャリダーがちょっと羨ましくて、自分も一泊して、夜の温泉を独り占めして、朝風呂にまで入って、温泉を堪能すればよかったとちょっと後悔してました。


 そして今回、同じ道を通るなら、と、今度こそそこに泊まってやるぞと思って、クスコから情報を集めてみました。
これが、全然情報が入ってきません。ガイドブックは歩き方にもロンリープラネットにも微塵もそんなこと書いてありません。クスコの観光案内所では記憶とは全然違うサンペドロかサンパブロって町に温泉があるって教えられました。
地図で調べてみると確かにサンパブロは載っているのですが、それはシクアニの手前、記憶の中のアグアスカリエンテスはシクアニの後、ララヤ峠の手前。これじゃ話になりません。
うーん。おかしい。あれだけ寂れてたから、もしかしたら廃湯になったのかも。。。



 でも、私は10年まえの記憶を頼りに温泉で1泊出来るように計画を練りました。

 10年前はクスコから
クスコ→50km→ウルコス→100km→シクアニ→100km→アヤビリ→100km→フリアカ→45km→プーノ
という距離配分になるので、無理なく走れる上に泊まる町は全て大きめな町で、宿が無いと言う心配もありませんでした。
でも、こうしてしまうとシクアニで泊まるので、温泉にはどうしても早い時間に着いてしまいます。朝着いてそのまま一泊するのはちょっと一日がもったいないですよね。

そこで、今回は初日にウルコスに泊まらず、ウルコスとシクアニの間で一泊、翌日シクアニをスルーして温泉で一泊。ま、後は適当にプーノまで行こうと計画しました。
 でも、一泊目が大変でした。ウルコスから約50kmに位置するチェカクペ(checacupe)と言う村に泊まりました。この村は地図で見ると周辺より一ランク大きな丸でかかれてます。私の持っている地図では、町、村、集落は人口によって、まるの種類が細かく5,6段階に別れているので、小さいほうから2番目のまるになっているチェカクペのほうが周辺の一番小さいまるの村よりいいだろうと思ったのですが、チェカクペには宿が一軒しかなくて、しかも宿の人がいなくて、泊まることが出来ませんでした。
宿の人が帰ってくるのを待つか、10km先の地図上で一番小さな丸の村に宿があることにかけてそこまで行ってみるか、夕方から雲行きが怪しくなってきて東のほうから確実に雨を降らせそうな雲が迫ってきています。
いつ宿の人が帰ってくるか分からない、帰ってくるかどうかも分からない上に雨雲が迫ってるとなるとちょっと心細くなります。
でも、やっぱり次の村のほうが地図で見て小さい丸ってことは宿が無い可能性が高いとみて、ちょっと落ち着いて待ってみようかと商店でビールを飲みながら、商店の人に他に宿は無いのかと駄目もとで聞いてみるともう一軒、あそこの大きな門の建物も泊まれるよって教えてくれました。
そこはどうも一般の宿泊施設ではないようで、最初断られたのですが、村にある唯一の宿の人がいなくて、泊まれないと言う事情を説明すると5ソル(約150円今のところペルーでは際安)で泊めてもらえました。

私は泊まれたのでラッキーだったのですが、チェカクペの宿はちょっと当てに出来ません。

 翌日、10年まえの記憶だけを頼りにチェカクペを出発。10km先の町には実は街道沿いに2軒も分かりやすい宿があって、チェカクペより全然活気のある町でした。こっちで泊まればよかったと後悔しながら、先を急ぎます。
シクアニの15kmほど手前、サンペドロと言う村がありました。観光案内所で教えてもらったとおり、温泉もあるようでしたが、やっぱり私の記憶とは全然違います。
 サンペドロをから更に2,3kmほど走ると今度はサンパブロという町がありました。こちらは地図に載っている町です。温泉があるかどうかは不明ですが。
なんか似た名前の町が立て続けにあると確かに混同しそうです。観光案内所の人もどっちか良く分かってなかったみたいでした。

 シクアニまで約40km、ここを出て、温泉がなくなっていたら、温泉があってもテントを張らせてもらえなかったら、もしくは温泉なんて全然なくて、ただ私のトチ狂った記憶違いだったら、何処で泊まろう?
シクアニの次に泊まれそうな町まで行くなら、峠の向こう側のサンタローサまで走らなければなりません。
シクアニから峠まで40km、サンタローサまではさらに30kmあります。ちょっときついかもしれません。
でも、テントを張るならララヤ峠には打ち捨てられた鉄道駅があったはず、と10年まえの遠い記憶を必死に呼び起こします。

 簡単にテントを張ると言ってもやっぱり標高4000m、夜はかなり冷え込むし、下手なところに張ると時間によってはすごい強風に見舞われて、テントのフレームに致命傷を受けたりすることになります。
出来れば建物の陰とか、もっと贅沢を言えば小屋とか、廃屋とか、屋根の下にテントが張れればより安心です。

そんな心配があるので、シクアニを出る時はちょっと後ろ髪を引かれる思いでした。

 シクアニまではきっとここで、温泉があるか聞いてもきっと教えられるのはサンペドロだろうと思ったので、シクアニを出て、しばらく走ってから、道端を長い塩ビパイプの束を担いで歩いていた二人組みのおじさんに聞いてみると・・・
ああ、あるある、もっと上だよ。10kmくらいかな。
と、前を持つおじさんが言うと、後ろのおじさんが
いやー10kmじゃないよ。もっとあるよ。

 嬉しい答えでした。記憶の中のアグアスカリエンテスもそこから、15kmか20kmくらいありそうでした。
でも、まだあるってことははっきりしました。記憶違いでもなくて、廃湯になってもいませんでした。
はたして、記憶の中とほぼ同じところに、温泉は存在していました。

シクアニから27,28km、キロポストだと何故か2系統あるのですが、多分新しいほうだと1137kmと1138kmの間で、古そうなほうだと1147kmと1148kmの間でした。

ただ、温泉は大きくなり、かつての内風呂だと思われる大きな湯船は建物が取り払われて、露天になり、そのほかにも大小7,8個の露天の湯船(というかプール)の他に、サウナ、家族風呂、プライベート個人用の風呂など、風呂だけでいろんな施設が立ち並び、他にも売店、脱衣所、シャワー、レストランに宿泊施設まで整ってました。
温泉街と言う感じではなくて、一つの温泉リゾートみたいになっていて、地元のペルー人が大挙してやってきていました。
途中、荷台にいっぱい人を詰め込んだトラックに何度か抜かれたのですが、そんなトラックも温泉行きだったようで、午後になると温泉の駐車場に止まっていたトラックが荷台にたくさん人を乗せて、来た時と同じように帰っていきました。
10年前に比べると施設も拡大して、人もたくさん来るようになったので、“秘湯”にはクエスチョンマークがついてしまいますが、5000m級の山々に囲まれる環境と爽快感は変わることなく、気持ちのいい湯です。

わたしは、温泉に午後1時過ぎに到着しました。その頃は地元の人で大盛況でしたが、2時過ぎくらいから人が引けてきて、4時か5時にはもう数えるくらいしかいなくなってました。
夜は殆ど独り占め、朝も夜明け前くらいから徐々に明るくなる空と消えてゆく満天の星空を眺めながら2時間くらい入ってしまいました。
 
 多分、源泉の温度は十分熱いのですが、そこはペルーの温泉、なんか湯船はぬるく設定されているのがちょっと残念でしたが、今まで入ったペルーやエクアドル、コロンビアの温泉と比べても野性味に溢れて、一番気持ちのいい温泉でした。


温泉はクスコから行くと国道のすぐ左側だし、クスコープーノの主要道路なので、バスで通っても見ることが出来ます。気がついた方もいたかもしれません。
オススメの温泉なので、予想される行き方(保証できないのですが)を書いておきます。

●行き方●
バスの場合
クスコから
 大きなバスは好きなところで乗り降りできない可能性が高いので、クスコからだとシクアニまでバスで行きます。
シクアニで、『アグアスカリエンテスにいきたい』と言ってコレクティーボかミニバスを探せばいけると思います。
シクアニからサンタローサ行きかアヤビリ行きがあれば確実に通るので、多分いけると思います。
もしかするとアグアスカリエンテスに行くツアーみたいなものがあるかもしれません。地元の人はそれで来てるみたいでした。
シクアニから日帰りでも泊まりでもいけると思います。
 アグアスカリエンテスは国道のすぐ側なので、シクアニに帰るもアヤビリ方面に向かうにもバスかコレクティーボを捕まえるのに余り苦労しないで済みそうでした。

プーノから
クスコからと同様に大きな長距離バスならアヤビリかサンタローサまで行きます。
サンタローサで降りれるなら多分サンタローサのほうがいいと思うのですが。。。
そこから、アグアスカリエンテス行きか、シクアニ行きのコレクティーボかミニバスを探します。

自転車、バイクの場合
クスコープーノ間を走ればまず間違いなく見逃すことは無いと思いますが。
シクアニから約27kmくらいで、ララヤ峠まで約10kmに位置します。
キロポストだとキロポストは多分新旧で2系統あって、シクアニ方面から1147km、1137km、アグアスカリエンテス、1148km、1138km、となります。
ちなみにララヤ峠は1158、1148ぐらいにあります。

●料金●2010年10月
入湯料3ソル(約90円)
宿泊料金10ソル(約300円)
サウナ5ソル(約150円)
プライベート湯3ソル(約90円)
入湯料と宿泊費の13ソルで泊まって、露天風呂は全部入りたい放題です。
サウナとか、プライベートは別料金になります。
他にもいろいろあるようなので、興味があったら行って聞いてみてください。


昔はガイドブックに乗ってたのに最近は削除されてしまったようですが、かなりオススメの温泉なので、もし時間に余裕がある方は是非。
 
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by fuji_akiyuki | 2010-10-05 00:24 | ペルー
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