ンボジア。
というと、何かと貧しいとか、貧困といったイメージが付いて回る感じがします。 たしかに、前回書いたとおり、GDPなんてものを見て、一年で平均すると一日5ドル弱。 前回の資料はウィキペディアで調べたもので、IMFが集計した資料からの抜粋ですが、こういった資料には、いつも懐疑的になってしまいます。 実際どうやって集計をしているのか、どういう実状があるのか全く分かりませんし、この統計の信憑性も全く定かではありませんが、他に頼る資料もないので、とにかく、日本のGDPを考えると、年収が350万円弱くらい。確かに平均的な気もします。 そんなわけで、カンボジア人の平均的な年収が1700ドル。一日5ドル弱で生活しているとすれば、中には一日2ドル弱、1ドル弱で生活する人も存在するという話にはうなづけると思います。 たしかに、そんな貧しい人がいるなら、募金しようとか、寄付をしよう、どうにか助けようと考えることは不自然ではありません。 ガイドブックやら、NGO系やボランティア系のパンフレットやら、ホームページやら、そういったものにはそんな貧困層の人間がいることが書かれています。 ガイドブックではそういった人が物乞いをしたり、たまには引ったくりやら強盗やらすりになって旅行者の私たちから、お金を奪ったりせびったりしてくることもあると注意を促したり、NGO系やボランティア系のものだったら、そんな貧しいカンボジアに私たちは井戸を掘りましたとか、何か役に立つことをしました。もしくは、これからする予定なので、寄付などの協力を呼びかけていたりしますよね。 ところが、当のカンボジア国内には私なんかがどんなに逆立ちしても全く手も届かないような高級車のレクサスがそれこそ、石を投げればレクサスにあたるんじゃなかろうかというくらいの密度で、町にあふれているわけです。 カンボジアでよく見るレクサスって型が特徴的なので、結構簡単に車種が特定できて、どうもLXシリーズというもので、調べてみると800万円弱くらいの車でした。中古だったりするともう少し安かったりするのかもしれません。ちなみにカムリはいろんな方があってよく分かりませんがだいたい300万円前後で、買えるみたいでした。 これが、カンボジアで売られることになると、関税などが入るはずで、普通に買うなら、日本で買うより高くなるはずですよね。関税自体は調べてみると35%らしいんですが、これが他にも付加価値税とか、いろんな税金が加算されて、適当に調べて当たった記事では定価の2 倍から3倍近く出さないと車を手に入れられないとか。 もともと関税は国内の産業を守るために掛けられるもので、車を作っていないカンボジアで、関税なんてただただ、政府その他、俗に言う役人の搾取に他ならないと思うんですが。 とにかく、このレクサスの多さは理不尽な税金を払っても車を買える裕福層が少なからずカンボジアにはあるという証拠ですよね。 詳しいことは分かりませんが、こんなに車種が限定されるのはどうも裏があって、スクラップとして、関税0%で輸入できたり、役人は非合法的に関税なしに購入できたりとかなり、腐敗した体質があるようですが、とにかく、関税とか、消費税とか、付加値税なんて全部なくしたって、私には到底買えるような値段じゃない高級車が所狭しとカンボジアでは走っているのです。 方や1日1ドルとか2ドルで生活する人がいて、方やレクサスを乗り回す裕福な人間が居ます。 また、物価を考えると、これまた不思議で、この東南アジア周辺ではタイのGDPが7900ドルと、中国の5300ドルにすら大差をつけて、裕福であるとこの資料は雄弁に語っているはずなのですが。。。 その実、カンボジアやラオスは結構物価が高くて、なかなか旅行者泣かせだったりします。 物価が高くても、道路が整備されている、冷たい飲み物が冷たく冷やされて売られているとか、お店は冷房がかかって居心地がいいとか、トイレは無料できれいだとか、そういったその商品そのものに対する対価のほかに、そういう特典があればこそ、その物価に納得がいくものですが、タイに比べると何もかも見劣りしてしまうカンボジアやラオスのほうが物価が高いというのはちょっと納得がいきません。 まあ、私は旅行者なので、多少ぼられているのかもしれませんが、屋台で、1食1ドルではどう考えてもカンボジアで、1日1~2ドルでは暮らしていけない計算になりますよね。 半分だったとしてもとても楽だとはいえません。 タイや中国と比べると到底カンボジアやベトナム、ラオスが、物価に見合った社会ではないと思えて仕方ありません。逆にタイや中国が安いのかもしれませんが。 ただ、GDPとものの物価を考えるとどう考えてもつりあいません。 たとえば、カンボジアでは一番安い缶ビール1本が大体2000リエル(約50円)。1日5ドルで働いている人の一日の収入の10分の一。 日本のGDPから考えれば簡単のため日給1万円とすると缶ビール一本が1000円相当。 ちなみにコカコーラなどのジュース類は1500リエル、日本で考えれば750円。 どう考えても気安く飲める代物じゃありませんよね。 だから、カンボジア人はそんなにビールなど飲まないのかというと、外人なんか絶対来ないようなどんな小さな村にでもビールは山ほど売られているし、ちょくちょく酒盛りを目にする機会にも恵まれます。 つまり一般人は外食はしない、、缶ビールは飲まないとすれば、カンボジアの屋台の件数の多さと、山積みになったビールのケースの説明は付かなくなります。あれだけお店があるにもかかわらず、ビールは高級品で、特別なときにしか買いません、外食はたまにしかいきませんだとすれば、お店をやってる側が今度はやっていけません。 缶ビールがぼられて売られているということではないようで、スーパーなど、値札のあるt頃でもその前後の値段で売られているので、このあたりの物価は屋台で食べる一食より確実なものだと思います。 タイで考えるといつも飲んでるビールが安いものですが、32バーツ。約100円。ただ、上のカンボジアの缶ビールの約2倍の量です。 タイ人の1日の収入を大体20ドルと考えるとビールの大瓶一本が一日の収入の20分の一。 日本で考えれば500円くらいの感覚になるでしょうか。これなら、あまりムリは感じないですよね。 カンボジアを例に考えると、レクサスの走るような裕福層が集中しているのは都市部だけ。しかも、一人当たりのGDPは国全体のGDPつまり、収入(という言い方が正しいのか、稼ぎというものでしょうか)を人口で割ったものと大体解釈しているので、それが大きく間違っていなければ、多くの貧しい人たちの収入とごく一部の大金持ちの収入を足して、平均化して、1日5ドルの計算になるはずなので、田舎に住む人は1日5ドルも収入がないということになりますよね。 しかも、都市部に住む裕福な人が裕福であるほど、平均を5ドルにするためには貧しい人はより貧しくなければならない計算になります。 多分ここには統計に大きなからくりがあるような気がします。 とにかく、額面どおりにとらえると、どうしても無理があるように思います。 どこまで正確に統計を取れているのか、いったいここにどんな風に為替のレートが関係してくるのかとか、統計の精度についてはまったく無知なのですが、GDPを基準に考えると、カンボジアの物価は無理があるように思いました。カンボジアに限らず、貧しい国では、GDPを聞くととんでもなく低い割りに物価はそうでもないですよね。 いったいどうなってるんでしょうね? そして、もうひとつ、カンボジアで思った事です。 レクサスに戻るわけですが、どうしてそんなにGDPは低いのに高級車のレクサスがこんなにたくさん走っているんだろうということです。 カンボジアといえば国中をメチャクチャにして、国内が混乱に陥れたポルポトが死んで、ようやく復興への道を歩みだした国というイメージがありますよね。 貧しいながらも道路を舗装して、学校を作ってみたり、井戸を掘ってみたり。 私が見ても10年前に比べるとカンボジア国内はずいぶん発展したという印象があります。それには海外からの援助もかなりたくさん受けたようで、よく、カンボジアと日本、とか、カンボジアと韓国、カンボジアとフランス、などなど、援助によって建てられた施設や、橋とか、その他もろもろのものに、カンボジアと援助した国の国旗が並んで描かれているのをよく見かけます。 物乞いもよく外人によって行ったり、観光地近くの孤児院では孤児院を運営するのにどれだけ掛かるのか、何にいくら、何にいくら。そんな予算報告みたいなものを英語で書いて孤児院の前に置いて、運営資金援助のための寄付を促していたり。写真や簡単な文章でこんなことをやっています、寄付をお願いしますみたいなファイルを持ち歩いて、募金を募ったり。 こういった行為が、悪いわけではなく、こういった行為が、レクサスの走り回るシエムリアップやプノンペンで、外国人旅行者相手になされていることに違和感を感じました。 なぜ? レクサスかえるなら、そいつが寄付すればいいじゃん。なんで、同じ国に住んでいながら、すぐ隣で、貧困にあえぐ人を見ながら、自分は贅沢ができるんだろう? と、いうとあまりにも偽善者ですが、むしろ自分が金持ちの立場だったとして、別に歳末助け合いに募金することはないような気もします。 疑問に思うのは、ここまで貧富の差が激しくなっているのにそれを平均化するシステムってないんだろうか?もっと合理的で、国がよくなるような制度を考えようという政治家はいないのか、そういう政府はないんだろうかって事です。 前述の孤児院ですが、たとえば1年の運営費が色々込みで1000ドルくらいだそうです。でも、レクサスは800万だから、レクサス1台で80の孤児院を1年間運営できるってこことですよね。 何で孤児院はそこを訪れる外国人観光客に寄付をお願いして、孤児院を運営しなければならないのか、疑問に思うわけです。 『そりゃ、海外旅行してるけど、俺だって、国に帰ったら一般庶民だし、レクサスなんて、逆立ちしたって買えないよ。』 なんて人を捕まえて、すずめの涙ほどの募金をつのって、孤児院を運営しなくたって、公用車にレクサスじゃなくて、もう少し安い車にして、浮いたお金を全国の孤児院に割り振ってもバチハあたらないんじゃないかっておもいませんか? って、こんな話は世の中にごろごろ転がっていて、そんなことに金を出すのはやめて、こっちに使えばいいのにとか、もっと金持ちから、税金を取って貧しくて困ってる人の援助に使ってみたり、公共事業でもして、雇用を拡大したらいいのにとか、そんな月並み話は本当にどこにでも、アンコールワット遺跡の中で見つけることのできるアプサラ像のようにごろごろ転がっているわけです。 で、こういう風に合理的に公共公益を考える力と、そうでない力(どうしてこの力があるのかは理解不能ですが)がつりあって、政府のスタンスというのが決まり、政策というものが実行されていくものなんでしょうが、これが、うまく機能しないと、極端に理不尽な、つまり、貧富の差が激しかったりするような社会が出来上がってしまうのではないのかと考えます。 貧富の差が激しくなったらそれを平均化するように政治や政府が機能しなければ意味がないんじゃないでしょうか?そのための政府であり、政治ではないのかなって思うわけです。 賄賂ばっかりとって、甘い汁ばかりを吸うためにだけに役人になるのであれば、そんな役人がはびこっているような国はいつまでたっても発展途上国のままなんだろうな。そして、そういう国では理不尽で、いびつなものがよく目に付くようになるんだろうな。 って、レクサスを見ながら思いました。
by fuji_akiyuki
| 2009-01-09 16:30
| タイ5
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