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コレはちょっと反則では?@ルサカ(ザンビア)

 誰でも自転車に乗っている人がわざわざ自転車を降りて車を止めれば何か故障でも
したかと思うでしょう。

 ルサカからリビングストーンまで約500km滝を見るだけのつもりだったから、リビ
ングストーンの町を出て、向かい風を受けて上り坂を登るとどうしようもなく嫌に
なってしまいました。ピストンになるのだからはじめからここに自転車を置かせても
らってバスで行けばよかったものを、どうしても走ってみたくていったはいいけど、
やはり帰りはあまりにも退屈で、、、

 それも行きはくだりが多く、さらに追い風、帰りは上り調子で向かい風、その上3
日前に走った道ときているわけで、ヒッチハイクを心に決めました。

 といっても幹線道路を猛スピードで気持ちよくかっ飛ばしている車が一旅行者の為
に止まってくれることはまれで、途中であった旅行者もヒッチハイクをするならガソ
リンスタンドでするのが基本といっていたので、自転車で走っている途中で車を止め
ることが出来るのかどうか不安でした。それも私は自転車つき、乗れる車も限られて
きます。狙いはピックアップと呼ばれる車の後ろ半分が荷台になっているタイプの
車、コレが結構前から見ると後ろが荷台なのか、ランドクルーザーやパジェロのよう
に箱が着いていて座席になっているタイプなのか区別がつきにくいのです。

 とりあえず疑わしきはサインを送ってみよう。と言う作戦で、自転車で走りながら
後ろを気にして、車の待つのを待ちます。これがまたなかなか来ません。20km、1時
間以上走って、バス2台、ダンプ2台、トラック1台、乗用車3,4台。この辺りは自転車
を乗せることが出来ないのでヒッチハイクの対象外。トラックはものにもよるのです
が、ただ1台通り過ぎたのはトラックと呼ぶには少し大きめで、荷台までが高いので
自転車を上げることが出来ないので却下です。
 で、狙いのピックアップ型は5台ほど通りました。そのうち2台は荷台に他のヒッチ
ハイカーが満載しているものと積荷が満載だったので止まってくれても乗ることは出
来ませんでした。つまり、1時間で3台が自転車ともども乗れそうな車だったのです
が、その3台目で見事ヒッチハイク成功です。

 まあちょっと人騒がせな話かもしれません。わざわざ自転車を止めて車にサインを
送るものだから運転手側から見れば何かトラブルでものあったのかと思うのかもしれ
ません。実はこの車を止める前にも対向車線を走る車がわざわざ引き返してくれて”
どうしたのか”と聞いてきてくれたことがあるくらいです。
 まあ止まってしまえばこちらのもので、後は行き先を聞いて乗せてくれと頼むだけ
です。そんなわけで実は自転車を持っているとヒッチハイクの成功率は意外に高いの
ではないかと思ったほどです。

 で、私を乗せてくれたのは警察官らしかったのですが、運転手の男(エディ)と、
その奥さんと子供(1歳)、それにどうも同僚の婦警さんらしく、私服でしたが、警察
の話しをしていたようです。とてもいい人たちだったのですが、窓からごみは捨てる
し、途中休憩によったバーで私は運転手に遠慮してコカコーラを注文したら二人の女
性はビールを飲み、何と運転手のエディはウィスキーの水割りを飲む始末。おいおい
大丈夫かこの車。と思いつつも乗せてもらっている立場で説教をぶつわけにもいか
ず。挙句の果てには1歳の男の子にビールを飲ませてしまう。それはいくらなんでも
まずいだろうと思ってみていると、何とその子も美味しそうにビールを飲んで、、、
何か間違っている!!! さらにエディは水割りを飲ませてしまいました。流石にこれ
は1歳の男の子にはちょっと無理なようでしたが。

 警察がこれでは交通事故はなくならないなと思った一日でした。エディはいい人
だったのですが。

と言うわけで今はルサカに戻ってきています。今日朝早速すりに遭いました。盗られ
たのは胸ポケットに入れておいた封筒。何も入ってなかったので”落としたよ”と
いって返してくれましたが、封筒は落ちないようにちょうど胸ポケットに突っかかる
サイズに折りたたんでいたので取られたことは疑いがないのですが。。。ルサカ、結
構気をつけなければならないようです。
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by fuji_akiyuki | 2005-08-10 21:02 | ザンビア

"生きている石?"@リビングストーン(ザンビア)

その人は手が不自由なようでした。中途半端に曲がって開かない指で一生懸命箱を包
装紙で包んでくれて
「取り扱いには十分に気をつけてくださいね,ナイフは危ないものですから。」
と注意とも警告ともとれるようなことを行って私にナイフを売ってくれました。50を過ぎたように見える女性だったと記憶しています。どちらの手が不自由だったかもう忘れてしまったのですが,確か右手だったと思います。
 
 その店は私が高校生の頃から銀座通りの端にあり,ちょっと刃物やライターなんて物に興味を持ち出した私には魅力的なお店だったのですが,パルコやら若者の集まるデパートライクなショッピングセンターにテナントを借りて安物のアクセサリーなんかをジャラジャラ付けた若い店員がやはりそのアクセサリーやらと一緒にウェンガーやヴィクトリノックスやらジッポを売っているような店とは違い、本格的な刃物の店であったその店はちょっと敷居が高いような気がしてなかなか足を踏み入れることができなかった店でした。
 銀座通りといっても東京の銀座ではなく、地方都市ならどこにでもあるまったく銀座でもなんでもない名前だけが銀座通りになっているようなとおりでした。私の場合は千葉の銀座通りだったのですが。
 
 その店に行こうと思ったのはこの旅行で一つナイフを新しく買おうと思ったからです。前にも使っていたナイフですが,前のナイフはブラジルで奇妙な固い木の実を割ろうとして刃をかけさせてしまったのですが,形,長さ,そして何より切れ味が良く,とても気に入っていました。そこで同じ型のナイフを買おうと方々探し回ったのですが,見つかりませんでした。それもそのはずでそのナイフはウェンガーというメーカーのナイフで,キャンプ用品屋によくあるのはヴィクトリノックス。さらに自分自身もそのナイフがヴィクトリノックス製だとばかり思い込んで探していたので見つかり様がありません。そして思いつくキャンプ用品屋やらアクセサリー屋をあたっているうちにあそこならあるかもしれないと思いついたのです。

 そのナイフはヴィクトリノックスやウェンガーのほかのナイフと違い缶切りやら栓抜きやら鋏といったごちゃごちゃしたものは一切ついてないシンプルにナイフだけでさらにその手のナイフの中では多分一番刃渡りが長くそしてなんと言っても形がよくて,そのナイフを探してちょっと敷居の高いその刃物専門店に入ったのです。

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 店内にはナイフに限らず包丁、はさみ,から爪きりにいたるまで刃がついているものはすべて取り扱っていました。ナイフや包丁はそれこそ名前の彫られたいかにも高そうなものまでそろえてあったので私は店内をくまなく見て回ってきょろきょろしていたので,大変怪しかったのでしょう。その女性はちょっと私を訝しがってみていたのでした。

 あまり店内をうろちょろするのもよくないかなと思って店の中央のガラスケースの中にヴィクトリノックスとウェンガーのコーナーを見つけて目的のナイフを探し出したのです。
 
  私が高校生の頃,確かナイフを喧嘩や恐喝に使う事件が後を絶たず,特にバタフライというタイプのナイフが店頭から徐々に消えていったようなご時世でした。そんなこともあって、なんとなくナイフを買うことやその刃物専門の店に入ることがちょっとはばかられるような、何か後ろめたいところがあったのです。もちろん私はナイフを喧嘩に使うつもりなどないのですが。
 そんなこんなで店のほうも若い男にナイフなどを売ることをちょっと警戒していた嫌いもあったようです。彼女がそんなことを思ったのかは分かりませんが、やはり私が、ナイフを買おうとしていることに、何に使うのかは気になったのでしょう。

 しかし私が,そのウェンガーのナイフを差し出して「これをください」というと、彼女はそれに合う箱を探し出してくれてナイフを箱にしまい,不自由な手で包装紙を巻きつけているときに一言だけ,「取り扱いには十分に気をつけてくださいね,ナイフは危ないものですから。」と言ったのです。言葉どおりに受け止めるべきなのか,この言葉には裏があって,喧嘩や人を傷つけるためには使ってはいけないと言う含みがあったのか,私には後者のような響きがあったように感じたのです。

 実はそのお気に入りのナイフが昨日行方不明になったのです。多分私がどこかに置き忘れて、買い物に行ってしまったのだと思って、買い物から帰って心当たりを探したのですが,一向に見つかりません。きっと誰かが見つけてこれはラッキーと持っていってしまったのではないかと思ったので,宿のバーやダイニングでくつろいでいる人に
「ナイフを無くしてしまったのだが誰か見ませんでしたか?」
と片っ端から聞いていく作戦に出ることにしました。出来心で持っていってしまった人も探している人の存在を知れば帰ってくるかもしれないと思ったからです。
 値段よりもそのナイフに,特に買ったときのその女性の言葉になぜか愛着のようなものを感じて、とても大事に使っていたので,どうしても探し出したい気持ちだったのです。
 しかし,この行動が別の方向に動いてしまったようで,私が,広く宿にいる人たちにナイフがなくなって探している事をふれまわったので,それを聞きつけたあるツーリストのカップルが私に
「君はナイフを取られたの?私は180ユーロもするサングラスを取られたのよ。」
と言ってきたのです。
 もう今日はレセプションも閉ってしまっているし,日曜で警察もやっていないから明日一緒にレセプションに言って警察に行こうと言う事になったのです。

 何か他にもなくなったものがあったらしく,男のほうはかなり興奮気味で2日間で4つも物がなくなるなんておかしい、きっと使用人が盗っていったんだ。と言っていました。
 盗られたのは女の子のサングラスらしく,その他にも靴を取られた人もいるとかで,その夜のうちにどこかから宿のマネージャーを見つけてきて男は興奮しながらマネージャーに使用人の管理が行き届いてないんじゃないかと詰め寄りました。マネージャーのほうはこんなことは今までおきたことがない。きっと何かの間違いだ。と言いながらも明日警察に言って盗難届を作成してもらおう。無くなったものはきっと返ってこないだろうというような趣旨のこと言っていたようでした。
 何件も続いていると聞けば私のナイフもきっと盗られたのだろうと思ってしまうところがおろかなところで,結局私も翌日(これは今日のことですが,)警察に行って盗難届を作成することになったのです。 
 今朝,9時にマネージャーの車に乗り,警察へ行き,事情を話して、何が盗まれたのか,どこで,いつ,そんなことを質問されて,宿に帰ってきました。

 私はもう保険も切れているので盗難届など何の意味もないのですが,まあとにかく作っておくに越し事もないだろうと警察に同行したのですが、やはり,ナイフを無くしたことがショックでした。何か不自由な手で一生懸命ナイフを包んで私に警告を発してくれた彼女になんとなく申し訳ないような気持ちで一杯でした。彼女の大切なナイフを譲りうけたのに私はちょっとした気の緩みからどこかに置き忘れて,それを誰かにもっていかれてしまった。仮にもしそれが町のマーケットで売りに出されて,悪い人間の手に渡り,もし犯罪にでも使われるようなことがありならば,もしあのナイフが人を傷つけるために使われでもしたのなら,
 そう思うと本当に申し訳なくて申し訳なくて,私は今日の午前中ずうっと沈んでいたのです。


 ところがそのナイフが警察から帰ってきてしばらくすると見つかったのです。宿の中にあるギフトショップとインターネットコーナーが一つになった場所があるのですが,そこのコンピューターの脇に置き忘れていたようです。確かに昨日,買い物に行く前に、その中に入ってインターネットがいくらでできるのか,と聞いた覚えがあります。そのとき確かにナイフを持っていたような気もします。インターネットコーナーは宿のセイフティーボックスのすぐ後ろで,セイフティーボックスはおのおの使う人が南京錠などを使ってかぎをかけておくようになっています。そして、私のそのナイフにはセイフティーボックスに使っている南京錠のかぎが取り付けてあったのです。

 つまり私は買い物に行く前,セイフティーボックスにどうでもいい文庫本などをしまうため(テントまで行くのが面倒だったので,)にナイフについたかぎを使ってセイフティーボックスを開け,そのナイフを持ったまますぐ後ろのインターネットコーナーで
「ここでインターネットをやるといくらかかるのか」
 とまたまたどうでもいい事を聞いて,そこにナイフを置き忘れてしまったのです。
 買い物から帰るとそのインターネットコーナーはもう閉まっていて探すことができずに,なくなったと思い込んだわけです。

 まあ、かえってきてよかったです。今度はしっかり注意し様と思います。
 
いまは世界3大瀑布の一つ,ヴィクトリアフォールズのすぐ近くの町,リビングストーンと言うところにいます。
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by fuji_akiyuki | 2005-08-08 20:05 | ザンビア

多面性。@ルサカ(ザンビア)

すべての事柄、事象、事件、人物、その他、何事に関してもたった一つの断面だけを見てもその本質をつかむことは不可能だと思います。
 
よくそういう風に考えるのはある人にあってその人がとてもいやだと思ったり、その逆にとてもいい人だと思ったりすることがしばしばあります。賄賂を要求して1時間も私を監禁したギニアの警官や、気分で私にビザを出してくれなかったモザンビーク大使館の係員とか、非常にいやな印象を持つ人もいます。
中にはマリで人間不信に陥ってちょっと精神的に参っていたときにいつもにこやかに一袋サービスしてくれたポップコーン売りのおばちゃんや、ギニアで熱にうなされて倒れたときに必死に看病してくれた人たちのようにとてもいい印象の人もいます。


ただ、この人たちと違う形でであったとき、同じようにいやな印象やいい印象を請けるかどうかという点についてははなはだ疑問に思っています。

もともと悪い人、いい人というものがあるのでしょうか、やはり、それは時と場合によっていろいろ変わっていくものじゃないかと思います。本当にその人がいい人なのかどうかはいろんな側面から多面的に未定家内と分からないものじゃないかと思っています。

町や国の印象についても同じことが言えるのではないでしょうか。

なぜこんなことを書いたかというと、ここ、ルサカの印象がとても悪くなってしまったからです。

実は昨日、もう一人の日本人と2人で町をふらふら歩いていると私と彼とで、合わせて4回もすりに会ってしまいました。4回とも気がついたので被害は0でしたが、こういうことをされるとその町の印象は著しく悪くなります。それも同じ日に4回とはさすがにこの町は泥棒の町じゃないかと疑ってしまうほどです。
ルサカはアフリカでも安全といわれていた町でした。私もあまり警戒はしていなかったのですが、だからといって多分そんなに気を緩めていたわけでもないと思います。大概、いつもと同じくらい緊張しながら歩いていたつもりで、まさか4回もすりに狙われるような気の抜けた歩き方をしていたとも思えないのですが、実際ここルサカではすりに4回狙われているのです。

こうなるとルサカの印象は最悪に近いものになります。ハラレも露店はないし、活気もなく、あまりいい印象はなくて、ここルサカは泥棒の町、なんとなく悲しいと思うのですが、私は単なる旅行者でルサカのたった一面、ごく一部しか見ていないような気がするのです。しかし、それでも旅行者から見える一面が泥棒の町ではザンビアの名誉にかかわることではないかと思うのですが。

というわけで早くこういう犯罪を取り締まって旅行者が安心して歩ける町作りをしてもらいたいものだと願う今日この頃でした。

P.S. 昨日の4人目のすりは私が”すりだ、彼を捕まえろ”と叫びながら追いかけて騒ぎを起こしたので私自身は取り逃がしてしまったのですが、警察が取り押さえてくれてすりの彼は連行されていきました。警察の皆さんお手柄でした。これからもがんばってください。
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by fuji_akiyuki | 2005-08-01 01:39 | ザンビア

自転車でサファリ!!?@ルサカ(ザンビア)

ジンバブエの状況が悪いためグレートジンバブエ遺跡を諦めてハラレから急遽ザンビアのルサカに向かうことにしました。

ハラレから北上すること約500km、かなりまっすぐルサカに向かう道があるのですが、実はその道は恐怖のサファリロードでした。

ハラレを出て2日目、カロイという町に向かう途中、
「今は大丈夫だけどこれから先は動物がいるから気をつけろよ」
とある現地人に言われました。
「え、えぇ」
ミシュランの地図には国立公園などはマークしてあるのですが、その道は無印でした。またまたそんなの嘘だろうと思ったのですが、ハラレのインフォーメーションセンターでもらった地図には確かにこの先カロイから60km程行ったところから色の違う区域に入っている…???
(この色は何を意味しているのだろう?)
そう思って凡例を参照してみると確かにその色は「サファリエリア」とあるのです。
(まずい!?)

カロイの町で一泊する間に打開策を考えました。ミシュランには載っていないがその土地の地図にはあるサファリエリア、もしこのエリアに入るときに重厚な柵とかがあるならばその場で車をつかまえよう、もしそうでないならばきっとあまり危険な動物はいないとみて、自転車で走りぬけよう。

さて次の日、このサファリエリアの入り口には柵などはなく、ただ「これから自然保護区です」という看板があるだけでした。そこで自転車で走りぬけることにしました。

その日はそのエリアに入って20km言ったところにあるモーテルで一泊しました。そこはなんと500,000$、朝食付きで600,000$もする宿でした。でもこれが実は20米ドルくらいにしかならないのですが…。

次の日、60kmサファリエリアを抜けてザンビアとの国境に至る道でした。最初25kmずっと下り、楽チンだと思っていたのですが、前方に何やらあやしいそれもかなりバカでかい影が!!!?何??

その影から何かがにゅっと伸びてる…鼻?

そう、象だ。象と象が路肩で草を食んでいたのです。
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思った以上に象は凶暴だと聞いているし、その走る速さは40km/hにも達するという話、ダメだ追われたら逃げ切れない。

しかし、象というのは元来草食動物のはずで、まさか私を食べるために追ってくることはないだろう。つまり相手を刺激しなければいいのだ。

こう考えてどうすれば彼らを刺激せずに平和的にやり過ごすことができるのか??

このままスピードに乗って彼らの前をもうスピードで通り過ぎてしまうか、もしくは止まって様子を見るか?きっと彼らも車には慣れているはず、もし車が止まったら彼らも躊躇するはず、ということは自分は車だと言い聞かせて彼らの前をできるだけ車に近い速さで、つまりはできるだけ全速力で、しかもできるだけ彼らから離れて彼らの前を通り過ぎる決心をしました。

彼らは道の左側にいたので、自ずと私は反対車線の右側を全速力で走りました。対向車が来なかったことが幸いでした。が、私が一頭の象、一番道の近くにいた象の手前を通りがかったその刹那、その象は私を見つけ、目に驚きの色を浮かべて突然動き出したのです。彼(もしくは彼女)を私が驚かせてしまったことは紛れもない事実でした。
「やばい」と思ったのですが、その象は得体の知れないものと遭遇した場合、きっと一番有効で一番賢いであろう行動をとってくれたのです。すぐに身を翻して、森の方に去って行ってくれたのです。

「あぁ、助かった」

しかし、これからが本当の受難でした。

後ろから付けねらって来ていたライオンを全速力で振り切り、木の枝から飛び掛るヒョウを巧みによけ、バッファローの群れを刺激しないようになりを潜める、といったような派手なものではなかったのですが…(ここまで行く前にたぶん死んでいるでしょうが)。

なんか背中がかゆいのです。おかしいと思っているとなんとアブの大群が後ろからついてきていたのです。アブはハエと違って刺します。アブの大群から刺されないためにはアブが体にとまった途端に追い払わなければなりません。無造作に後ろに腕を持っていって空をつかむようにすると必ず1匹くらい手の中に入ってきます。
それでも下り坂でスピードが出ている時はアブも追いつくのがやっとらしく、あまり前にはまわってきません。ところがちょっとした上り坂などでスピードが緩むと顔や腕などにも襲撃を受けるのです。

国境まであと20kmというところでした。国境まで走りきればきっともう動物を心配する必要はないので、何とかなるだろうかと思ったのですが、あまりにもアブの襲撃が激しくて耐えられなくなり、自転車を止めるのは動物も怖かったし、アブの襲撃をまともに受けることも怖かったのですが、確か殺虫剤を持っていることを思い出したので、自転車を止めました。アブはすごい勢いで私の体にまとわりついてきました。殺虫剤を出すのもイライラしながら、毒性の強い、説明書きには絶対に人体や皮膚には使うなと書かれている殺虫剤を頭から顔から流れるほど吹き付けるとアブの襲撃はやっと一段落つきました。虫除けではなく殺虫剤です。

不思議なことはそれから約10km位はそれでも2、3匹のアブが後ろをついてきていたのですが、10kmを過ぎるとピタッとアブの襲撃は止んでしまったのです。

アブにはそういう習性があるのでしょうか?

北海道に露天、混浴、無料という温泉がいくつもあります。これが意味するところは、温泉マニアの誰かが掘ってたいして誰も管理してるわけでもなく、脱衣場があるわけでもない、設備は皆無だが温泉自体が景色がいいとか湯加減がいいなどで有名になったというような大変趣のある温泉をいうことが多いのですが、その中に岩間温泉という温泉があります。未舗装の道を12~13km行った山奥にあったように記憶しているのですが、この温泉もご他聞に漏れずとても趣のある、いい温泉です。北海道では今のところ1、2を争うほど私は好きな温泉なのですが、実はここ、アブが多いことでも有名なのです。ところがそのアブも湯の周りにしかおらず、私が自転車に乗ってそこに行くときと帰るときはほとんどアブに悩まされることはありませんでした。

そんなわけでアブというのは結構局所的に生息しているのだろうかと疑問に思いました。

まあ、でもアブがハエのようにどこにでもいたら結構うっとうしい世の中になっただろうなと思うと、今の世界は恵まれていると安心するしだいでした。その後ハエをかわいらしいと感じるようになってしまいました。
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by fuji_akiyuki | 2005-07-30 20:11 | ザンビア