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馬@アワサ(エチオピア)

起伏が激しいと聞いていたエチオピアでしたが、あまりにも言われていたものだから、逆に対して感じなかったのかもしれませんが、評判ほどではありませんでした。それともまだこれからなのでしょうか。とにかくここに来るまで、何だこの坂は?と思ってしまうような起伏は全部で100km弱ですんでしまったようです。その他は緩やかにアップダウンを繰り返す比較的なだらか地形でした。

昨日アディスアベバまで後約270km、アワサというアディスアベバまでの道ではもっとも大きな町に到着しました。

起伏は思ったよりひどくなかったのですが、人はひどかったです。
「YouYou! YouYouYou! YouYouYouYou!!!!」
「YouYou! バランジ、バランジ、カラメーロ、ステイン」
「YouYou! YouYouYou! FUCK YOU !YouYouYouYou!!!!」
「you you you, give me my money! you, ハイランド、バランジ」
「アッパ、アッパ、アッパッパ、カラメーロステイン アッパッパ」

自転車に乗ってる間は四六時中言われ続けます。本当に人がうざったくて仕方ありません。
たぶんバランジというのはこの国で白人という意味の言葉と思いますが、アフリカに来て、まず最初に覚える現地語が挨拶でもありがとうでもなく、いつもこの白人という言葉でした。

エチオピアは言葉の攻撃だけではなく、石を投げてきたり、泥をぶつけてくることもあり、子供は当然のごとく追いかけてくるし、ひどいと自転車を引っ張ろうとします。ルワンダを思い出してしまいました。ルワンダほど坂がきつくなかったので逃げ切れただけで、やっていることはほとんど変わりありませんでした。いや、もっとひどかったかもしれません。ただし、これも聞いていたことなので、心の準備があったためかそこまでひどく感じませんでしたが、やはり自転車で走っている人に向けて石を投げたり泥を投げつけてくるなんて、どう考えてももうまったく理性を持たない野生動物の域に達しています。

きっとエチオピア人をそのまま日本に連れて行って、エチオピアにいるのと同じように振舞ってもらったら、9割がたのエチオピア人は脳に障害を持っている人だと思われるでしょう。それほどエチオピアでは会う人会う人がおかしな言動をします。アフリカでは大方人間相手にまともに取り合っていると腹は立つし、いらいらするし、疲れるしで、何一つ状況はよくならないことが多いので、大概こちらに用事のない人には徹底的な無視に徹していたのですが、モヤレではそのために大喧嘩になり、ここでは石が飛んでくるので本当にやってられないという感じでした。

アワサは今までの村より少し大きな町で、エチオピア名物のコーヒーや、フルーツジュース、生ビールなんかが安く簡単に手に入って、そういった部分では大いに感激しています。食事は?というと、これもエチオピア独特の薄く焼いたパンケーキ状のインジェラという食べ物があります。インジェラは焼く前の生地を醗酵させるらしくて、酸っぱくてあまりそれだけでは食べたいと思うような代物で灰のですが、これについてくるソースがミートソースそのもので、初めはとてもおいしかったのですが、これも毎日3食食べているとだんだんと飽きてきて、今ではほかのものが食べたいと思うのですが、食事にまったく選択肢のないところはやっぱりアフリカだなと感じてしまいます。
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Photo: Humanyms

毎日朝、インジェラとミートソース。昼、インジェラとミートソースとちょっと野菜、夜インジェラとミートソース味の焼肉、または生肉。これが1週間も続くとやはりちょっと別の味のものが食べたくなってくるものですが、どのレストランもこれ以外のものがなく、メニューは無いか、あってもインジェラ以外のものは用意できないのが普通。淡さまでくればもう少しましなものにありつけるかとおもっていたのですが、甘かったようです。

昨日、気になる馬を見ました。
今は雨季のため毎日のように、午後、突然大雨が降ります。降り出す30分くらい前から風が吹き出して、黒い雲が湧き上がってきて、そうなるとみんな家路を急ぐか適当なカフェに逃げ込みます。

昨日は私もどこかのカフェに隠れてあめをやりすごしたのですが、その後、まだ雨の名残がちらほらぱらついている街を歩いていると、往来の中央に今の雨でずぶぬれになった馬が車線に対して直角に、まるで、車の通りを遮るように立ち尽くしていました。クラクションを鳴らされてもすれすれを車が通り過ぎようとしてもまったく動く気配がありませんでした。

初めはこの馬変だな?おかしいのかな?位に思っていました。

馬のいる通りを通って雨上がりの街をどこかでインジェラ以外のものは食べられないものかとさ迷い歩いて、フラフラと歩き、30分位して、また同じ場所に戻るとやはりまだその馬はその場所に立ち尽くしていました。場所は同じでしたが、向きは車線と平行に、しかし、車道の真ん中に立っていました。今度は馬の両脇を車がかすめて通るようになっていました。しかしなぜそんなところにたっているのか不思議でしょうがありませんでした。

今日、その馬は昨日の位置から100mほど移動していました。それでもまだ道の真ん中にただじっと立っています。草を食むわけでもなく、主人を待つでもなく。
そして今日もいつものように雨が降ってきました。私は馬のいるとおりに面したカフェで雨をしのいでいました。カフェからは正面の通りは見えるけど、屋根のあるところは少し奥なので、馬までは見えませんでした。雨が本降りになり、アスファルトに白い水しぶきが上がるようになったころ、その馬が通りの右のほうからカフェから見える視界の中に入っていました。

そして、どうしてその馬がいつもそこに立ち尽くしていたのか、わかったような気がしました。

その馬は右前足に傷を負っているようでとてもつらそうに歩いていました。歩いているというか、傷を負った右前足をかばう様に何とか4本足で這いずり回っているといった感じでした。左前足を踏ん張って、後ろ足を少し前に繰り出し、後ろ足がついたら今度は右前足を突かないように慎重に左前足を繰り出して、まるで尺取虫のようにゆっくりゆっくりと進んでいきます。そしてその馬の体を容赦なく雨がたたきつけ、アスファルトと同じように背中に白い水しぶきが見えます。その姿痛々しくて見ていられないのですが、もちろん自分にも、地元の人にもどうすることもできないのでほっとくしかないのです。

あの馬は多分足が痛くて動けなかったんだと知りました。動けないけど、足を折って体を休めればもう2度と立ち上がることはできず、そのまま死を待つだけだということを知っていたのでしょう。だからなるべく動かないようにして立ったまま、夜を越して、昼間人や車の往来を眺めていたのでしょう。しかし、雨が容赦なくたたきつけ、体温を奪い、どうにか逃げなければときっと当ても無くさまよい始めたのだろうと思いました。昨日も雨の後現れた馬でした。昨日もどこかで雨が降り出して逃げた先がこのカフェの前の通りだったのでしょう。今日はその馬はラウンドアバウトの方に歩いていき、ついに視界から消えてしまいました。

明日まで持つのか心配でしたが、私にはどうすることもできません。誰も助けようとはしません。そういえば、思い出してみるとイシオロを出てから、エチオピアに入り、これで乾燥と死の世界からは抜け出せたと思っていたのですが、どうも家畜の死骸の数だけは変わらなかったように思います。

あの馬もいずれ路肩の死骸のひとつになるのでしょうか。何かやはりちょっと死の近いくらい印象を抱かずにはいられないところです。それともこれは雨のせいでしょうか?
by fuji_akiyuki | 2006-04-24 02:01 | エチオピア
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