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アザーンの迫力に圧巻@サナア(イエメン)

イエメンすごいです。とにかくびっくりしたのは町にゴミ箱はたくさんあるし、歩道はきれいだし、町を歩いていても言い寄ってくるわけのわからない人もいないし、野次すら飛んできません。アフリカと決定的に違うのは自分たちの文化を持っているということです。

私は今、イエメンの首都サナアの新市街に宿を取ったのですが、マプートで出会った旅人と再会し、彼に旧市街、オールドサナアというところに案内してもらいました。
 
イエメンは世界最古の摩天楼と称される町がいくつもあります。オールドサナアもそのひとつで、茶色い壁に白い窓枠と装飾の施されたイエメン独特の建物が所狭しと立ち並び、その一つ一つはまるでお菓子の家のように見えるのですが、おびただしい量で、所狭しと並んでいる様子はまさに摩天楼そのものです。これが、西洋文化の入ってくるずっと前、400年とか500年前に立てられたものだというのだから、その歴史の深さには敬服させられます。
つい100年前まで、壁画を描き、明らかにほかから入ってきたものを自分たちの文化だと信じ込んでいたアフリカ諸国とは比べる土台から違っているようです。

そんなオールドサナアにオールドサナアパレスホテルという、そのあたりではちょっと背の高いホテルがあります。ここは景色がきれいということで、旅行者の間ではちょっと有名なようですが、私の友人はそこに連れて行ってくれて、屋上から夕日を見てきました。オールドサナアの歴史あるお菓子の家が赤く染まるその光景も見事だったのですが、イスラム教のお祈りの時間。日没後のアザーンが聞こえてきたときは本当に鳥肌の立つほど感動してしまいました。
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Photo: Jemenský

アザーンはイスラム教のお祈りの時間、夜明け前、正午、日没後、夜、と確かもう一回、朝だったかな、そんな感じで一日5回、モスクから町に流されるお祈りみたいなものですが、これは時間がきっかり決まっているものではないらしく、モスクごとに多少ずれるようです。

しかし、日没後のお祈りは太陽が沈む時間で決まるので、自然どこのモスクもほとんど同じ時間にアザーンを流します。イエメンの首都、サナアには格式の高いモスクも多いらしく、この日没後のお祈りの時間にはひとつのモスクからアザーンが聞こえてきたかと思うと、競うかのように四方八方からアザーンの独特の祈りの声が聞こえてきました。しかも肉声で、それぞれのモスクの声が少しずつ違っていて、その音には何か血の通った、迫りくるような迫力を感じました。

アフリカでもアザーンはずうっと聞いていたはずなのですが、モスクは大概ひとつだし、聞こえてくるアザーンもひどいときにはテープだし、モスクの近くに間違って宿を取ったときにうっとうしいと感じるだけだったのに、アザーンがこんなにすばらしいと感じたのは生まれて初めてでした。

さすがに、アザーンとイスラムの歴史のある町並みがマッチしていて、アザーンの声が乾燥した大地に降る雨のように速やかにやさしくエキゾチックな摩天楼にしみこんでいくのを感じました。
久しぶりに異文化に触れ、外国に来ているんだなと感じたひと時でした。そして久しぶりに前向きな記事が書けた気がします。
by fuji_akiyuki | 2006-05-06 15:14 | イエメン
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