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やっぱりバスでの旅行は難しい。(その1)

昨夜、ペシャワールを離れ、ラホールに向けて夜行バスに乗りました。
事故のため、屈辱の帰還です。

 面倒くさいな。事故なんかなければこんな風にまたラホールに帰らなくてすんだのに。時間も無駄になったなぁ。

 なんてちょっと沈みがちにバス停に夜行バスを探しに行きました。

 とにかく、イエメンから、めっきりバスの旅には弱い私です。とにかく、バスに乗ろうと思うと、まずどこからバスが出てるのか、どうやってチケットを買うのか、どこでチケットを買うのか、バスターミナルやバスチケット売り場までどうやって行くのか、どうしていいのか路頭に迷ってしまいます。

 乗ったら乗ったで、好きなときに出発できないし、好きなところで止まれないし、目的地に着くまで、そのバスが本当に生きたい街に行くのか、同じような名前のあさっての方向の町に連れて行かれているのではないか?心配とイライラで、なんか落ち着けなません。
 
 着いたら着いたで、自分が下ろされたところがどこなのか、皆目見当もつかないし、着いたところから、宿までどうやっていいのか。もう、いつもオロオロしてしまうのですが、今回もやれてしまいました。

 今回は新しい敵です。

 お隣さん。

 こんなに大変だとは思いませんでした。

 今回は簡単にバスターミナルまでもいけたし、バスのチケットも買って、車掌に窓際の席がいいとちゃんと要望も言えて、自分ではさすがにバスにも結構なれてきたと思っていたのですが・・・

 しかし、今回は大変でした。まずは厳重なセキュリティチェックでした。
 警察みたいな人(パキスタン人なら誰でも着ているような服を着ていたので認識不可能)が全員の荷物を一つ一つ開けてチェックします。
 もちろん私のもチェックするわけですが、私の荷物はそれはもう厳重に雨対策がされていて、開けるのは非常に難しいです。
 たいていの荷物チェックはかばんを開けた途端半ばあきらめて、形ばかり見たという体裁を繕って、ほとんど中身を見ずに許してもらえるのですが、さすがにテロのメッカ(こういう場面でこういう言葉を使うのは適切ではない気もしますが)ペシャワールではそうは行きません。

 すでにバスに乗り込んで3時間以上。車掌が客集めのために出発を繰り下げ繰り下げされてイラついてるのに、私の荷物だけで20分くらい格闘して、下の方まで手を入れて、一生懸命調べていきました。

 ようやくバスが走り出したと思っても、何度か警察に止められて、ビデオカメラを持った警官が入ってきて、一人一人撮影までされました。
 
 そんなのいったいいつ使うんだよート心の中で毒づきながらも、それがテロに対する出来る限りの犯罪抑止力になることを願うがために行うんだろうなと思うと、協力しないわけにも行きません。でも内心はあまり気持ちのいいものではありません。
 
 うーん、やっぱりこんなことにエネルギーを使うより、他のことに目を向けられるようになればいいのにと思うとテロなんてものに怒りを覚えずに入られませんでした。


しかし。。。。

本当の敵はここからでした。

隣りに乗り合わせたおじさん。
年のころは40から50にかかっているのかもといった感じ。顔に刻まれたしわがそのくらいの歳を物語っているようでした。大柄なパキスタン人の多い中にいて、彼は中肉。背は座っていてよく分からなかったけど、高そうな感じでした。
今回の大ボスでした。

 はじめは静かに、そして、機を見ていたようで、一言もしゃべらずに、おとなしく隣に座っていたのですが、バスが、一度休憩のためにドライブインのようなところに止まり、みんながバスから降りて思い思いに、トイレに行ったり、腹ごしらえをしたりしてバスに戻ると、ここぞとばかりに話しかけてきました。

 「君は日本人か、それとも中国人か?」
 
 私は答えました。
 「私は日本人だよ。」
 彼は私の読んでいた小説を覗き込んで。
 「じゃ、これは日本語かい?」
「その通りさ。」

そんなことが会話のきっかけでした。
 「さっきは君が勉強していて邪魔しても悪いなと思って、声をかけなかったんだけど。」
 ああ、小説の事ね。多少気にはしているようだけど。
 「勉強していたわけじゃないし、邪魔じゃないよ。タダの小説だから、」

 普段、あまり英語の聞き取りにくい相手だったり、言ってる意味が分からないときとは早々に会話を切り上げるのが常だったのですが、彼の英語はまあ、聞き取れるし、いってることも脈絡があり、退屈なバスのひと時、彼も話し相手が欲しいのだろうとも思い、そしてまた、こうして、現地の人と触れ合うのもきっとバスの旅行の醍醐味の一つだろう。
 なんて思って、ちょっくら付き合ってみますかと思い、こんなせりふを言ってしまいました。何故かちょっと読み進めずらい小説だったのも原因の一つかもしれません。

 この時点で、小説をあきらめて、彼に付き合ってみようという気持ちが芽生えてはいたのですが。

 「日本はいい国なんだよね。よく発展している。」
 
 きた。いつものだ。

 「確かにね。」
 軽く受け流す。

 「ところで聞きたいんだが、日本には癌のための病院はあるのかい?」

 えっ!?何で癌限定???もしかして、この人・・・
と、内心思ったけど、とりあえずあまり詮索せずに。
 「たくさんあるよ。」

 「それはタダなのか?」
 「そんなことはないよ。お金は掛かる。」
 「でも日本は発展してるんだろう、誰でも治療が受けられるんじゃないのか?」
 なんかめんどくさいことになってきたぞ。
 とりあえず保険制度について軽く説明して、結局
「政府が7割払ってくれるんだよ。我々は30パーセントを払えばいいんだよ。」ってこれが確か今の社会保険とか国民健康保険ってこんなんだったよな。と思い出しながら、でもそれががん患者に当てはまるかなんて全然知りませんが。

 「そうか、実は私は胃癌で。」


 ああ、やっぱり。きちゃったよ。何でそんな重い話になってきちゃうわけ。重いよ。癌って。

 「2回ほど手術をしたんだが、まだ癌が体に巣くっているらしいんだ。」

 で、日本で、治療がしたいんだけどどうしたらいいんだろうってか。

 「で、日本で、治療がしたいんだけどどうしたらいいんだろう??日本には簡単にいけるのか?」

 なんか、よくある展開になってきたぞ。なんとなく先が読めます。

「ああ、きっといけるさ、大使館に相談するといい。」
 この辺はあまり深入りしないようにします。
 
さらに、これも教科書にあるお手本通りの会話。
 
 「君の宗教はいったいなんだい。」

 「仏教であるとされているけど、あんまり熱心ではないよ。」

 「だったら、イスラムがいい。コーランを読んで、イスラム教を勉強して、イスラム教になったらいい。」

 ああ、もう、絶対いや。豚も食べられないし、お酒も飲めないじゃん。

 「コーランには3000年も前に書かれて、宇宙の全てのことが書かれているんだよ。」

 そんな地球は46億年も前に出来たといわれているけどね。と喉まで出かかったけど、ここは反論してはいけません。とにかくこの宗教話がさっさと通り過ぎますようにと祈るばかり。

 ああ、神様。早くこの会話を終わりにしてください。

 どの神様に祈ってるんだろう。アッラー??まさかね。

 彼がひとしきり、イスラムのすばらしさについて熱心に説いてる間、私はこの会話が終わることを願うことに熱心で、話の半分も聞いていなかったのですが、彼の講釈が終わると。

「どうだい、イスラム教は??」

 「私は豚は美味しいと思う。」
 余計な一言でした。
 
 「イスラム教は豚を食べない。なぜなら・・・・・」
 ああ、また始まった。

 しかし、宗教話に私が疲れていることを察し始めた彼は、
「そうだ、文化の違いについて話そう。」    
 このあたりから、会話が違う様相を呈していきました。


 「イスラムでは子供時こそ男女共学だがすぐに別々になって、どんな形であれ、全然女性とは関係を持たないんだけど、日本ではどうなっているんだ。」

 「日本は、ずうっと男女一緒だよ。」
 まあ、男子校や、女子高もあるけど、まあ、いいか。

 「ええ、それはどういうことだ。建物が一緒って事か?」
 「建物だけじゃない。」
 「同じ部屋で学ぶのか?」
 「大抵は、男女は隣同士に座らされるよ。」
 かなりな衝撃だったらしい。
 「え、そんなんじゃ、勉強にならないじゃないか!!」
 「慣れてしまえばなんでもないよ。」

 「じゃ、ガールフレンドはどうだ。いつごろから持つんだ。」
 この辺でちょっと誤解が生じたようで、話はこじれてきます。 
  
 「13,4くらいから異性に興味を持ち出すのがふつうだとおもうよ。」
 という言葉が良く説明できませんでした。
 「ええ、13,14??、それはセックスをするということかい」
 さすがに彼も声を潜めて聞き始めます。
 「ちがうちがう、13,14ごろから男の子は女の子の話をしたり、女の子の事を考えたりするんだよ。」

 「じゃあ、イスラム教にはガールフレンドという概念がない、日本はその辺はどうなっているんだ。」
 「問題なくそんなの存在するよ。ガールフレンドを持ってる人は多い。」
 なんだ、この展開は。
 「それは、セックスをするということか?」
 「そういう場合もあるよ。」
 「イスラム教では結婚前にセックスをすることは許されていないんだ。そんなことをして、罰せられないのか。」

 うわぁ。もう、面倒くさい。

 「日本ではそんなことはないよ。」
 彼は興奮しだしている様子。参ったな。
彼 「じゃ、もし、それで子供が生まれたらどうするんだ。」

私 「まあ、たいていの場合は結婚するんじゃないかな、」

彼 「でも、結婚していない男女がセックスをして、子供が出来て、それでも結婚しなかったらどうなるんだ。」

私 「たいがいは母親が子供を育てるよ。」

彼 「そしたら、名前はどうなるんだ。」
 名前?

私 「名前に何か問題があるの?」

彼 「だって名前には父親の名前が入っているだろう。」

私 「日本ではそんなことはないよ。」

彼 「じゃあ、父親を知らない子供が出来てしまうじゃないか。そうならないようにイスラムでは父親の名前が子供の名前に入るようになっているんだ、どうだ、その方がいいだろう。」 

 結局底に落ち着くんですか、説明するのも面倒です。でもまだまだ、会話は続きます。
 
 でも今日は疲れたのでこの辺にします。それではまた明日。
  

つづく
 
by fuji_akiyuki | 2007-05-21 20:55 | パキスタン2
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